卵巣における新規の調節因子として、アネキシンVの発現調節を主に検討した。この目的のために、ノーザンブロット法とリアルタイムPCR法の技術を確立した。 ノーザンブロット法には、ジゴキシゲニン標識PCRプローブを用いた非RI法を確立した。ジゴキシゲニン標識ヌクレオチドを添加した反応液でPCR法を行い、プローブを合成した。アルカリフォスファターゼ標識抗ジゴキシゲニン抗体を用いた化学発光法で特異的バンドを検出した。この方法で、mRNA量を定量的に評価できることを確認し、性周期、偽妊娠(機能的黄体相)で卵巣のアネキシンVmRNA量の推移を検討した。 更に、測定に使用するRNA量を少なくし、定量性を高めるために、リアルタイムPCR法を確立した。内部標準として用いるG3PDHとアネキシンVcDNAに適用する蛍光色素標識オリゴDNAプローブ(Taqmanプローブ)とプライマーの組み合わせを検討した。検量線作成用の標準品をDNA組み換えで作製した。これらを用い、測定条件を検討し、良好な検量線を得た。 卵巣のアネキシンVmRNA含量は、性周期に伴ってその量を変え、排卵前に最低値を示すことが明らかになった。更に、黄体が機能化しプロジェステロン分泌が高進すると、卵巣のアネキシンVmRNA含量は著しく減少した。これは、ラットの偽妊娠に分泌の高進するプロラクチンの作用であることが明らかになった。これらの結果から、アネキシンVが黄体機能に影響を及ぼすことが推定された。
|