研究課題/領域番号 |
11660304
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
池 郁生 理化学研究所, 実験動物開発室, 先任研究員 (40183157)
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研究分担者 |
平岩 典子 理化学研究所, 実験動物開発室, 先任技師(研究職)
吉木 淳 理化学研究所, 実験動物開発室, 先任研究員
日下部 守昭 理化学研究所, 遺伝子基盤研究部, 部長(研究職)
塚田 晃代 理化学研究所, 実験動物開発室, 研究員
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キーワード | 胸腺 / テネイシン / マウス / CD25 / CD44 / 初期分化 / プロT細胞 |
研究概要 |
テネイシン-C(TN-C)は細胞外マトリックスの一種であり、large formとsmall formのアイソフォームを持つ。TN-Cは胎児発生・組織再生時に高い発現を示すほか、成体では胸腺の上皮および髄質の濾胞境界面や濾胞内リンパ球間に多く発現する。TN-Cは免疫系に抑制的に働くと言われているが、胸腺におけるTN-Cの機能についてはほとんど分かっていない。我々は4.2GyのX線を照射したTN-C欠損C3H/HeNマウス胸腺において照射1週間以内のlin陰性CD44弱陽性CD25陽性細胞の分化がC3H/HeN正常対照群より早く進むことを発見した。これは胸腺再構築時に再生源となるX線低感受性の胸腺内T細胞が分化する際にTN-Cが抑制的に関与していることを強く示唆する。そこで胸腺再生過程のTN発現部位を明らかにするため、X線照射後のマウス胸腺を免疫組織化学的に検索すると共に、TN産生量の変動を生化学的に解析した。その結果、X線照射後1週間内の胸腺再構築時にTN-C発現が大幅に上昇すること、その発現は皮質血管壁および髄質リンパ球間などに顕著であること、TN-C発現部位はファイブロネクチンやサイトケラチン18の発現部位とは異なること、発現TN-Cのアイソフォームは組織修復時に多く見られるlarge formではなく正常胸腺にて定常発現している型と同様のsmall formであること、などが明らかになった。これらはTN-Cが胸腺髄質のT細胞と相互作用を行っている可能性を示す。一方、胸腺皮質のTN-C産生は被膜や血管壁に顕著に観察され、TN-Cがこれら再生支援構造の充実化に働いていると思われる。
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