研究課題/領域番号 |
11660304
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
基礎獣医学・基礎畜産学
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研究機関 | 理化学研究所 |
研究代表者 |
池 郁生 理化学研究所, 実験動物室, 先任研究員 (40183157)
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研究分担者 |
平岩 典子 理化学研究所, 実験動物室, 先任技師(研究職) (30200380)
吉木 淳 理化学研究所, 実験動物室, 先任研究員 (40212310)
KUSAKABE Moriaki RIKEN (The institute of physical and chemical research), Division of Experimental Animal Research (60153277)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 胸腺 / テネイシン / マウス / 初期分化 / T細胞受容体β鎖 / レパトリー形成 |
研究概要 |
細胞外マトリックスのテネイシン-C(TN-C)は成体胸腺の上皮および髄質に多く発現するが、胸腺におけるTN-Cの機能については不明な点が多い。我々は非致死量X線を照射したTN-C欠損C3H/HeNマウスにおいて照射1週間以内の胸腺lin陰性CD44弱陽性CD25陽性細胞が野生型マウスより早く分化することを発見した。これは胸腺再構築時に再生源となるX線低感受性の胸腺内T細胞が分化する際にTN-Cが抑制的に働くことを強く示唆する。胸腺再生過程のTN-C産生を生化学的および免疫組織化学的に検索したところ、照射後1週間内にTN-C発現が大幅に上昇し、その発現は髄質リンパ球間および皮質血管壁などに顕著であるがファイブロネクチンやサイトケラチン18の発現部位とは異なることなどが明らかになった。 一方、MLRを調べたところ、TN-C欠損GRS/Aマウスの反応細胞は野生型BALB/cに対しTN-C欠損BALB/cより有意に低い応答を示し、TN-CがMLRを抑制することがわかった。これはTN-CがMLR全般の抑制を行っている可能性と、MLR応答に関与するT細胞クローン形成に関与している可能性を示唆する。後者の可能性を調べるため、TN-C欠損GRS/Aマウスと同野生型マウスの末梢リンパ節のT細胞受容体β鎖(Vβ)発現解析を行ったところ、両者間でVβ発現パターンに差は見られなかった。未刺激脾臓・末梢リンパ節のCD4陽性メモリー/活性型T細胞の割合では、TN-C存在が末梢T細胞のメモリーに関与する可能性が示唆された。 以上からTN-Cは胸腺細胞分化に抑制的に関与するがVβレパトリー形成には関与しないこと、TN-CによるMLR応答抑制の可能性の一つとして抹消におけるメモリーT細胞の形成促進があることなどが分かった。
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