研究課題/領域番号 |
11660309
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
応用獣医学
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研究機関 | 岩手大学 |
研究代表者 |
平野 紀夫 岩手大学, 農学部, 助教授 (40092308)
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研究分担者 |
遠山 稿二郎 岩手医科大学, 医学部, 助教授 (10129033)
平 秀晴 岩手大学, 農学部, 教授 (70045756)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | 血球凝集性脳脊髄ウイルス / コロナウイルス / 神経親和性 / シナプス通過性 / トレイサー / 末梢神経系 / 中枢神経系 / 神経科学 |
研究概要 |
ブタコロナウイルス、血球凝集性脳脊髄炎ウイルス(HEV)の末梢、中枢神経系での感染機序解明に関して下記の成績を得た。 1.週齢の異なるラットへの各種経路からのHEV核種では、週齢の増加に伴い腹腔内、静脈内接種では感染しにくくなるが、皮下接種では感染が成立した。 2.1)の成績にもとずいて、ラット及びマウスの後肢皮下にHEV接種すると、ウイルスは接種側の座骨神経を介して腰髄神経細胞、腰髄神経節に感染し、さらに上行し大脳皮質、海馬神経細胞、中脳神経細胞で増殖したのち、小脳のプルキニエ細胞などの大型神経細胞にウイルス抗原が検出されたが、髄膜、上衣細胞、脈絡そうなどには抗原が検出されず、血液、脾臓、肝臓からはウイルスも検出されなかった。HEVの感染経路および増殖部位は狂犬病ウイルスを後肢皮下に接種したマウス、ラットの所見と酷似しており、HEVが強い神経親和性を示した。 3.HEVのラット鼻腔内接種では、ウイルスは嗅球神経細胞で増殖後、嗅結節、嗅皮質、視床脳室周囲部神経細胞、上丘神経細胞、下丘神経細胞、アンモン角神経細胞、小脳プルキニエ細胞に感染増殖し、嗅覚系、辺緑系、三叉神経系等を介して感染を拡げることが明らかとなった。 4.HEVの眼房内接種では感染初期に網膜、上丘、一次視覚野、外側膝状体核の神経細胞にウイルス抗原が検出されたがグリア細胞には検出されなかった。後期には陽性神経細胞数が増加し、ウイルスが視覚系を介して感染を拡げることが明らかとなった。 5.各経路から感染させた実験動物の大脳をアストロサイトのマーカーであるGFAPに対する抗血清と抗HEV血清を用いて2重染色を行ったところ、GFAP腸性細胞にはHEV抗原が検出されず、HEVは神経細胞にのみ感染しグリア細胞には感染しないことが証明された。 以上の成績から小型実験動物の接種ではHEVがシナプスを介して神経細胞に感染し、グリア細胞では増殖しないことが解明され、ブタのHEV感染モデルとして,また、神経科学分野で神経伝導路解析のトレイサーとして応用可能であることが示された。
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