本研究ではYersinia enterocolitica血清型O:8(O:8菌)のノネズミから人、またはノネズミからノネズミへの感染経路として、経口感染のほかにノミやダニなどの外部寄生虫が媒介者になっている可能性を探る目的で、昨年に引き続き、2000年6月〜12月に、以前の我々の調査で本菌を保有するノネズミの存在が確認されている青森県および山形県で捕獲したノネズミ(アカネズミ10頭、ヒメネズミ18頭、ヒミズ1頭、ヤチネズミ1頭)計30頭とこれらのノネズミから採取されたダニ類50匹から本菌の分離を試みた。その結果、ノネズミ30頭中ヒメネズミ1頭から本菌が分離されたが、このネズミを含むネズミ15頭から採取できたダニから本菌は検出されなかった。これらのことから、O:8菌はダニのような外部寄生虫を媒介者として人や他のノネズミに関する可能性は低いものと思われた。しかしながら、ダニに吸血されたO:8菌が、生きてはいるが人工培地では発育できない状態(VBN状態)になっている可能性を考え、このような状態になった本菌を分離するための適切な分離法の検討を行なった。その結果、VBN状態になったO:8菌の分離には、O:8菌に対する抗体を貼り付けた免疫磁気ビーズとVYE培地に抗生物質を含まない培地を重層した培地を併用する方法が最もVBN状態の菌の回収率が高いことが判明した。
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