昨年度の研究によりイヌ血小板膜にはα_2-受容体の他に非アドレナリン受容体が存在することが示された。本年度ではイヌ血小板におけるI-受容体の存在とサブタイプを明らかにする目的で実験を行い、以下の知見を得た。1.^3H-Ida結合ではIda、^3H-Clo結合ではClo存在下を非特異結合として行った飽和実験により、非アドレナリン受容体結合部位の存在が確認された。I_1-siteに対する置換実験では各薬物の置換曲線は高親和性と低親和性領域の2相性を示し、その親和性はMoxonidine≧Oxymetazoline>Agmatine≧Guanabenz≧Clonidine>Medetomidine>Atipamezole≧Idazoxan≫Yohimbineの順位を示した。I_2-siteに対する置換実験では各薬物の置換曲線は1-site結合性を示し、その親和性はGuanabenz≧Idazoxan>Medetomidine≧Atipamezole≧Agmatine>Oxymetazoline>Xylazine>Clonidine≫Yohimbineの順位を示した。従って、イヌ血小板にはI-受容体のサブタイプが少なくとも2つ存在し、それらはI_1-、I_2-受容体であると判断された。Agmatineは両サイトに親和性を示し、イヌ血小板のI-受容体に対する非選択的な内因性リガンドであると考えられた。今後、イヌ血小板におけるセロトニン受容体の性質についても検討する予定である。
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