1.黒毛和種性雌牛の性周期に伴う卵巣・子宮の血流パターン: 正常な性周期を示す黒毛和種雌牛3頭を用いて、連続する3回の性周期中の卵巣および子宮の血流動態の変化を超音波ドプラ法を用いて計測した。その結果、(1)黄体内の血流は、新生黄体期から確認され、その後次第に血流を増やして黄体開花期でピークとなった後、黄体退行期には比較的急速に減少していった。なお、大きさや形状においてはそれほど差のない活動期黄体と退行初期黄体では、血流量・分布において明らかに差が認められた。(2)子宮内の血流(横断画像)は、黄体期ではリング状の低エコー帯の外側にのみ認められたが、発情期が近づくにつれ、これに加えてリング状低エコー帯やそれより内側に血流が豊富に認められるようになった。(1)、(2)の経時的変化は、我々が先にホルスタイン種雌牛で動揺の検討を行った成績と概ね一致した。また、3性周期間の差はほとんど認められず、検査方法や結果の再現性は良好と考えられた。血流変化の定量化の方法や性ホルモン動態との関連を中心に次年度は検討を進めたい。 2.超音波造影剤の卵巣・子宮血流への効果:黒毛和種成牛1頭に超音波造影剤(レボビスト)を頚静脈より注入し、注入前後の卵巣・子宮動脈について検討した結果、注入後、わずかな血流増強効果が認められた。この増強効果は、超音波造影剤の注入量や注入経路等により影響を強く受けるため、次年度はこれらの点を解明し至適検査方法を確立したい。また、生殖器の微小循環の検出とその意義について検討したい。
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