研究概要 |
減少しつつある里山や人里の植物を現地で保護できるよう取り組むことは重要であり、それに取り組む一方で、取り返しがつかなくなる前に、そこの植物の種子を収集し、生存状態で保存し、研究や自然の復元などに役立てることを目的にこの研究を行った。 この期間中に収集できた都道府県は19にのぼり、平成11年4月以降に採集した種子及び標本は156科1,240種、2,542点であった。 インターネットのホームページ(http://www.rib.okayama-u.ac.jp/wild/index.sjis.html)に種子の収集状況や画像を公開したことや水草研究会の全国集会を当地で開催したことなどで、多くの方から種子の送付などを受けることとなった。現在までに収集できた種子およびさく葉標本の種類数は表1のようになっている。この中で冷凍保存種子とはマイナス20℃で保存されている種子であり、大部分は発芽能力を持った生存種子である。 現在収蔵しているさく葉標本や種子の科、種、点数を挙げると、さく葉標本は247科6,020種49,182点、種子は217科4,539種23,130点、冷凍保存種子は189科2,671種9,829点、里山植物の種子111科657種3,598点、人里植物の種子102科1,061種12,274点、里山植物の冷凍保存種子107科567種1,907点、人里植物の冷凍保存種子98科935種5,849点である。 この期間中には30件の種子を希望者に提供した。 日本に自生あるいは帰化している植物の中で里山の植物と呼べる種として129科784種を数えた。レッドリスト掲載種は17科25種であった。 人里に生育している種類は約119科1,050種と算定されたが、レッドリストに掲載されている種類が29科50種があり、里山よりも種類数が多かった。
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