研究課題
基盤研究(C)
本研究では、本邦の亜熱帯域に生息する糸状菌、酵母、細菌、放線菌などの微生物相を明らかにし、その培養株を得て適切に保存すること、さらにそれぞれの種の生活史や生態を調査して亜熱帯生物としての特性を明らかにすることを目的として研究を行った。調査地は南西諸島(奄美大島、沖縄本島、石垣島、西表島)とし、平成11年度〜14年度にかけ、4回の採集を行った。調査対象は、熱帯・亜熱帯に特徴的な環境であるマングローブ域の他、海岸や河川で採取できる海藻、落葉などの植物遺体の分解に関わる真菌や水生菌、森林や耕作地の土壌に棲息する土壌真菌、各種植物の生葉内に棲息する植物内生菌、土壌や植物基質に棲息する酵母および酵母様糸状菌、海岸域に棲息する細菌(Cytophaga-Flavobacterium類縁細菌群を中心に)、土壌中に棲息する放線菌(いわゆる希少放線菌を中心に)とした。その結果、多数の未知菌種を含む分離株が得られ、一部はすでに新分類群として記載報告を行い、さらに系統分類学的研究を進行させているところである。菌の性状についても、一部の菌で、同種ながら熱帯と亜熱帯とから分離された菌株の比較を行い、生息域の環境に対応した生理性状、生態的特徴を備えることを明らかにした。また、得られた培養株を同定の後に発酵研究所のカルチャーコレクションに寄託し、すでに一部を一般に公開した。今後、分類学的研究の進展にともなって、命名記載を行いながら菌株を順次コレクションに公開していく。
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