H12年度は、リボザイムを細胞内で効率よく機能させるために、H11年度に構築したりボザイム発現ベクターの改良を行った。H11年度に構築したベクターは、IE180mRNAに対するリボザイムの発現に、RNA polymerase IIのプロモータ(Cytomegalovirus immediate-earlyエンハンサー/プロモータ)を利用しているが、本年度構築したしたベクターは、RNA polymerase IIのプロモータに加え、tRNAの転写を行うRNA polymerase IIIのプロモータも利用できるように改良した。この改良したベクターは、H11年度と同様、リポソーム法を用いてブタ培養細胞に導入し、得られた形質転換ブタ培養細胞はクローン化してウイルス感染実験に用いた。ウイルス感染実験は、クローン化した形質転換ブタ培養細胞の細胞数とウイルスの数が等しくなる条件で行ったところ、形質転換していない培養細胞では、感染後2.9(±1.2)日で全ての細胞に細胞変性効果(CPE)が観察されたのに対し、形質転換した培養細胞では6.0(±0.7)日であった。このことから、RNA polymerase IIIのプロモータは、リボザイムの細胞内における発現に有効であることがわかった。 従って今回申請した研究から、リボザイムはPseudorabias virusの防除に有効であり、また、リボザイムの発現にはRNA polymerase IIIのプロモータを利用するのが望しまいことがわかった。今後、IE180以外のmRNAに対してもリボザイムを設計し、IE180mRNAに対するリボザイムと併せて細胞内で発現させれば、更に強力な防除効果も期待できると考えられる。
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