研究概要 |
リボザイムをブタ細胞内で効率よく機能させるために、リボザイム発現ベクターの改良を行った。すなわち、細胞内のリボザイム発現量を増加させるために、転写能力の高いRNApolymerase IIIのプロモータを利用すると共に、市販のベクター(pCI-neo,Promega,USA)にクローニングしてあるRNA polymerase IIのプロモータ(Cytomegalovirus immediate-earlyエンハンサー/プロモータ)とを組み合わせたコンストラクトに改良した。この改良コンストラクトは、リポソーム法にてブタ培養細胞(Fs-L3株)へ導入し、G418耐性遺伝子を利用して形質転換細胞をスクリーニングした。得られたクローンから数クローンを選び、ブタオーエスキー病ウイルス(PRV)を感染させた。PRV感染後、経時的に培養細胞を観察したところ、リボザイム遺伝子を導入していない細胞では、感染後2日でCPEが培養器全体に広がった。これに対しRNA polymerase IIIのプロモータによってリボザイムが転写されている細胞では、感染2日目ではCPBが観察されないクローンもあり、PRVに対して抵抗性があることがわかった。しかし、このPRV耐性を示したクローンも感染5日目にはCPEが培養器全体に広がった。一方、RNA polymerase IIのプロモータのみによってリボザイムを転写している細胞では、RNA polymerase IIIのプロモータを利用している細胞に比べ、CPEの広がりが早いことから、リボザイムの発現にはRNA polymerase IIIのプロモータを利用するのが望ましいことが明らかになった。以上の結果から、リボザイムを用いた新しいブタのウイルス防除システム開発における基礎データが得られた。更に研究を進めていけば、実用可能な技術に発展しうると考えられる。
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