リンパ節内辺縁洞直下に存在する抗原移送細胞(ATC)と濾胞内に存在する抗原提示細胞のひとつである濾胞樹状細胞(FDC)の関係について検討した。 1 Wistar系ラットに同時にHRPとKHLという2種類の抗原を用いた実験で、HRPを20回連投し、KHLを3回投与した後にそれぞれの標識抗原を投与し、抗原の局在を観察すると、(1)KHLはFDC上に観察されるが、HRPはほとんど観察されなかった。(2)ATCはKHL、HRP2種類の抗原を同時に取り込んでいた。 2 リポソーム封入クロドロネートの投与による実験では、辺縁洞直下のMOMA-1陽性細胞(ラットではED3に相当する抗体)が消失した。follicle内に存在するFDC上には抗原が結合していた。 3 抗原投与回数の増加に伴いED3陽性細胞が減少した。follicle内では40回投与でFDCのED5およびMRC OX-2に対する反応が減弱した。これらはFDCのMarkerとして有効であるとの報告からFDCの消失、あるいは膜抗原性の変化の両面が考えられた。しかし、S-100 proteinに対する染色性や電子顕微鏡による観察と合わせて考えるとFDCはfollicle内に残存し、膜抗原性に変化が生じた可能性が示唆された。MRC OX-2抗原はtype 2 cytokineの産生に対するsignalとして働くことからType 2 cytokine産生の抑制が、間接的にB細胞のplasma cell分化への抑制を起している可能性が示唆される。 以上のことから辺縁洞直下に存在するMOMA-1陽性細胞(ED3陽性細胞)はATCと異なる細胞であること、またATCとFDCの抗原結合態度が異なることから、ATCとFDCは異なった細胞であり、FDCが過剰の抗原に対して、負のfeedbackをかけている可能性が示唆された。
|