研究課題/領域番号 |
11670014
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
和泉 伸一 長崎大学, 医学部, 助手 (40264246)
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研究分担者 |
進 正志 長崎大学, 医学部, 助手 (80145226)
小路 武彦 長崎大学, 医学部, 教授 (30170179)
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キーワード | 転写因子 / 核 / プロラクチン / Pit-1 / Southwestern / 分化 / 胎盤 / 遺伝子 |
研究概要 |
本研究では、細胞の機能的分化は転写調節因子の分布の差を反映するのかを明らかにすることが目的である。ラットの胎盤では、妊娠令が進むと絨毛膜の細胞が機能的に分化してプロラクチンファミリー蛋白(PFP)を産生するようになる。本年度においては、絨毛膜の細胞の機能的分化はプロラクチン(PRL)遺伝子を発現させる転写調節因子(Pit-1)の分布の差を反映するのかを、種々の妊娠期間における胎盤内の細胞においてPit-1とPFPの分布との相互関係を分子組織細胞化学的方法および免疫組織化学法で検討した。ウィスター系妊娠ラットの胎盤の凍結組織切片を用いた。Pit-1の分布はSouthwestern histochemistry法(SWH法)で、PFPおよびPit-1の分布は酵素抗体法で光顕的および電顕的に検出した。その結果、SWH法ではPit-1は妊娠13日から15日では主にjunctional zoneの栄養膜細胞の核質に分布し、その後は妊娠16日から20日では主にlabyrinth zoneの栄養膜細胞の核質に分布していた。免疫組織化学によるPit-1の陽性細胞はSWH法による陽性細胞とほぼ一致していて、妊娠18日まではPit-1はlabyrinth zoneの未分化な中型の栄養膜細胞の核質およびポリリボゾームに観察されたが、妊娠19日と20日ではPit-1は分化した小型の栄養膜細胞の核質のみでポリリボゾームには検出されなかった。PFPの陽性細胞はPit-1の陽性細胞とほぼ一致していて、妊娠13日から20日までPFPはこれらの栄養膜細胞の細胞質に分布していた。したがって、Pit-1が核内に分布することが、妊娠後期のラット胎盤の栄養膜細胞においてPFP遺伝子の発現の調節に関係していることが示唆された。培養細胞の核内に、合成核酸プロープないし抗体を導入する条件は検討中である。
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