研究概要 |
われわれは平成12年度に、ラット胎盤において絨毛膜のブロラクチン・ファミリー蛋白を産生する細胞への機能的分化と、ブロラクチン・ファミリー蛋白の遺伝子を発現させる転写調節因子(Pit-1)の核内分布との間に強い関係があることを,電子顕微鏡レベルの分子組織細胞化学的方法により示唆した。13年度では、Pit-1の機能を人為的に調節することにより,細胞の機能的分化を調節することが可能かを培養細胞を用いて電子顕微鏡レベルのSouthwestern histochemistry法等で解析して明らかにする予定であったが、培養関連機器ならびに遺伝子導入装置に不備があったため、活性型転写調節因子と遺伝子DNAあるいはその転写産物核酸の核内における位置的量的な相互関係を解析するために超微細形態的に可視化する基本的技法の確立を試みた。モデルとして、2種の核内物質を同時に細胞内での局在化を施工した。45SrRNAは18SrRNAと28SrRNAに当分子数にスプライシングされるが、核内の量的分布は不明である。マウス精巣において18SrRNAならびに28SrRNAの分布を大小金コロイド粒子を用いたポストエンベッディングによるin situハイブリダイゼーション法で同時に定量的に検出すると、精母細胞とセルトリ細胞の核小体の中での分布は同じであったがそれぞれの量は異なっていた。このことから、転写因子や転写産物核酸などの代謝が異なる核内物質でも同時に定量的に相互分布の証明ができることが示唆され、これら分子組織化学技法を今後の研究の発展に適用できると考えられた。研究期間は終了したが,培養細胞を用いた転写因子の機能の人為的な調節は今後、継続して研究する予定である。
|