大量培養した未熟オリゴデンドロサイトを抗原として作成したマウスモノクローナル抗体を用いて、ラット前脳から脊髄に至る中枢神経系におけるオリゴデンドロサイトの発生過程を免疫組織化学的手法を用いて、胎生早期から成熟期までの発達過程を追跡して、検索した。前年度ではclone 4F2を用いて、この陽性細胞の分布を検討し、胎生早期から脳室層および脳室下層に認められた多数の4F2陽性細胞が、成熟期においても白質、灰白質に分布するとともに、側脳室の外側上部にある脳室下層にも、未熟型のオリゴデンドロサイトが存在することを確認した。本年度では、これらの未熟型のオリゴデンドロサイトがさらに老年期においても認められるのかどうかを調べた。その結果、老年期においても4F2陽性の未熟型オリゴデンドロサイトが、その数を減少しつつも、脳室下層などの部位に存在することを確認することができた。現在、これらの老年期に認められる未熟型オリゴデンドロサイトに分裂能力があるかどうかを検討しているところである。また、他のいくつかのクローンについても検討した。そのうちの1つであるclone12F7の陽性反応は生後になってから認められ、陽性部位が髄鞘を形成した白質部分に限局することを確認した。陽性反応を示す白質部分が限られるので、この点について現在検討しているところである。
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