研究課題/領域番号 |
11670027
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
竹村 司 近畿大学, 医学部, 助教授 (40227054)
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研究分担者 |
吉岡 加寿雄 近畿大学, 医学部, 教授 (60111035)
日野 聡 近畿大学, 医学部, 講師 (70218733)
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キーワード | 尿管芽細胞 / 間葉系細胞 / HB-EGF / 尿細管 / 集合管 / PI-3 kinase |
研究概要 |
培養尿管芽細胞(UBC)は、SV-40抗原発現マウス(e-11.5)の胎児後腎から尿管芽を単離することによりcell line化した。また、間葉系細胞は(MS-7)、胎生マウス(e-10)の後腎より、mesenchymal capを単離することにより得た。proHB-EGF発現細胞は、cDNAを発現ベクターに組み込んでUBCに発現させた。培養方法は、type I collagen gel 培養を用いた。soluble(s)HB-EGF(10^<-7>M)の collagen gel内への添加により、培養数日で樹枝状のbranchingが誘導され、管腔構造を持つ尿細管類似の構造を示した。抗phosphoinositide-3kinase(PI-3 kinase)抗体を用いたwesterm blotにより、branchingと同期してPI-3 kinase活性の増加が認められた。一方、wortmanninにてPI-3 kinaseを阻害したUBCでは、尿細管形成は認められなかった。recombinant s-HB-EGFの添加により、UBCにおいて、matrix metalloprotease(MMP)-1が、MS-7ではMMP-2の発現増強が証明された。一方、TPAにてs-HB-EGFを切断した後に培養したproHB-EGF発現UBCでは、proHB-EGFの細胞膜上での再構築に伴って、branchingの抑制された一本の管腔構造へと分化した。蛍光抗体法による検討により、proHB-EGFは、接着す細胞面に極性の持った回復を示すことが明らかとなった。また、この尿細管類似構造は、水チャンネルの一つであるaquaporin2の発現を示した。以上から、形成された尿細管類似構造は、集合管の性質を持つことが明らかとなった。s-HB-EGFによるUBCの尿細管形成の過程には、PI-3 kinaseを介したカスケードが重要であり、またUBCの間葉系組織への侵入には、UBCおよびMS-7より分泌されるMMPによる組織融解が必要である。膜結合型HB-EGFは、形成された尿細管構造の形態維持と成熟に関与するものと考えられた。
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