研究概要 |
脾洞内皮細胞の血球通過機構を解明する一環として、内皮細胞の微細構造を透過型電子顕微鏡、共焦点レーザー顕微鏡、computerを用いて調べ、脾洞内皮の収縮機構を微細構造学的に検討した。 脾洞内皮細胞の細胞間結合と透過性について、freeze fracture法、細胞質抽出法、細胞間標識tracer法を用いて透過型電子顕微鏡で調べた。細胞基底側にtight junctionが観察された。それらは不連続でreplica上でtight junctionのstrandsは数も少なく、頂部一基底方向に走り、閉鎖していなかった。tracerの硝酸ランタンは電子密度の高い物質として細胞間隙やtight junctionを通過した部位に観察される。脾洞内皮細胞間ではtight junctionのある膜の癒合部以外はどこの細胞間隙にも存在していた。脾洞内皮でのtight junctionのfence機能、gate機能は弱いと考えられた。 脾洞内皮細胞内の開放小管系の存在を細胞外標識tracer法用いた微細構造の観察とその結果をcomputerで3次元的に証明した。これまで開放小管系は血小板にしか存在の報告がない。tracerを用いて内皮細胞内に見られる小胞系のあるものは細胞膜から連続した細い開放小管系であることを証明した。また、computerで3次元的解析を行い、開放小管系が細胞内を分岐吻合しながらnetworkを作り、stress fiberやcaveolaeに密接して走っていることが解った。 内皮細胞には数多くのcaveolaeが存在する。caveolaeを構成するcaveolinにはcaveolin-1,-2,-3があり、このうちcaveolin-3は筋に特異的に発現する事が解っている。脾洞内皮細胞にcaveolin-3が存在することを共焦点レーザー顕微鏡と免疫電子顕微鏡法を用いて明らかにした。caveolin-3は細胞質の頂部、側部、底部いづれにも観察された。細胞質内の小胞様の構造にも反応が見られた。
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