研究課題/領域番号 |
11670029
|
研究機関 | 産業医科大学 |
研究代表者 |
藤本 淳 産業医科大学, 医学部, 教授 (80080547)
|
研究分担者 |
工藤 秀明 産業医科大学, 医学部, 講師 (40289575)
土肥 良秋 産業医科大学, 医学部, 助教授 (30258602)
|
キーワード | 低酸素 / エンドセリン-1 / Weibel-Palade小体 / RT-PCR / エンドセリン変換酵素 / in situ hybridization / 免疫細胞化学 / 急性カドミウム中毒 |
研究概要 |
本年度研究計画の大綱に沿って、1)ラット肝から調整したpoly(A)+RNAを鋳型としたRT-PCR法により得られたcDNA断片をもとにエンドセリン(ET)-1前駆体cRNAプローブを作成した。2)ラット胸大動脈から95%N_2+5%CO_2混合ガス通気Hanks液を灌流した低酸素実験群と、95%O_2+5%CO_2混合ガス通気Hanks液を灌流した対照群の腹大動脈の電顕観察により、実験群血管内皮細胞のWeibel-Palade(WP)小体数が有意に増加することが示された。両群腹大動脈に対して、ラットET-1前駆体cRNAプローブを用いたin situ hybridizationを施行したところ、実験群内皮でET-1前駆体mRNAのシグナルの有意な増強が観察され、WP小体数増加とET-1産生能に相関性があることが確認された。3)昨年度作成した抗ラットET変換酵素抗体の特異性をウェスタンブロッティングにより確認したのち、我々がすでにWP小体数増加とET-1放出亢進を確認している急性カドミウム中毒ラット胸大動脈で、抗big ET-1抗体、抗ET-1抗体、および抗ラットET変換酵素抗体を用いた免疫細胞化学を施行した。光顕免疫細胞化学により、実験群内皮において、big ET-1、ET-1、およびET変換酵素の免疫陽性反応が有意に増強すること、免疫電顕により、big ET-1免疫陽性金粒子が実験群血管内皮細胞の粗面小胞体に沈着すること、ET-1免疫陽性金粒子は実験群同細胞のWP小体内に沈着することがそれぞれ示された。以上の結果から、急性カドミウム中毒ラット胸大動脈内皮細胞において産生亢進したbig ET-1は、相関性をもって発現性を増強させたET変換酵素により活発にプロセッシングされ、ET-1としてWP小体に貯蔵される機序の亢進が想定された。
|