研究課題/領域番号 |
11670038
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
生理学一般
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
中山 晋介 名古屋大学, 医学部, 助教授 (30192230)
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研究分担者 |
岡村 康司 工業技術院生命工学工業技術研究所, 生体分子工学部, 主任研究官
岩下 寿秀 名古屋大学, 医学部, 講師 (00283432)
葛谷 雅文 名古屋大学, 医学部, 講師 (10283441)
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研究期間 (年度) |
1999 – 2000
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キーワード | カルシウム / イオンチャネル / 電気生理学 / 分子生物学 / 不活性化 / 持続電流 / 多種開口状態 |
研究概要 |
過去に申請者らは、平滑筋細胞膜に存在するL型Caチャネルに高脱分極を与えると電位依存性に第二の開口状態へと遷移することを明らかにしている。Caチャネルがこの開口状態にあると、不活性化を受けず、チャネルが長期に開口するので、細胞内への持続的Ca流入機構に関与する可能性を考察した。 平成11年度には、Chinese Hamster Ovary(CHO)細胞に発現された平滑筋Caチャネルのα1サブユニット(α1Cb)の性質を、単位電流記録の電流トレースを集積して尾電流の脱活性化速度を検討した。その結果、クローニングされた平滑筋Caチャネルは、生体中の平滑筋組織に存在するCaチャネル同様に、高脱分極によって第二の開口状態へ遷移することを明らかにした。 平成12年度は、11年度の実験を拡張して、CHO細胞の全電流記録を行い詳細なCaチャネルの電位依存性動態を解析した。α1Cbのみが発現している細胞では、4秒間の高脱分極ステップ中でもCaチャネルの不活性化が少なく、再分極時にはゆっくりとした脱活性化が観察された。これは、単位電流記録での解析(第二の開口状態の存在)を補強するものであった。このCHO細胞に平滑筋タイプβサブユニット(β3)を発現させたところ、通常の脱分極(例えば0mV,200msec)及び高脱分極ステップ中のCaチャネルの不活性化の割合が、ともに増加した。また、高脱分極とジハイドロピリジンCaチャネル増強薬の相互作用を調べたところ、この2つの処理は互いに独立に作用して新しい開口状態を作りだすことがわかった。その結果、平滑筋α1サブユニットだけで、少なくとも4つの開口状態が存在することが示唆された。この多くの開口状態は、生体内での平滑筋生理機能の多様性に貢献する可能性が考察された。
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