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2000 年度 実績報告書

心筋Na^+-K^+ポンプとNa^+-Ca^<2+>交換におけるイオン輸送機序の解析

研究課題

研究課題/領域番号 11670041
研究機関京都大学

研究代表者

松岡 達  京都大学, 医学研究科, 助手 (00263096)

キーワードNa / Ca交換 / 心臓 / トランスポーター / モデル / 活性調節
研究概要

従来、通常の剥離パッチからはNa/Ca交換などの起電性トランスポータ電流記録は不可能とされていたが、我々は生理的心筋細胞から大きなパッチ膜を作成する方法(心筋マクロパッチ法)を開発し、Na/Ca交換電流(I_<Na/Ca>)記録に成功した。この方法によりモルモット心室筋細胞I_<Na/Ca>を記録し、細胞内NaとCaによるNa/Ca交換活性調節の詳細なキネティクスを調べた。
マクロパッチ膜I_<Na/Ca>は、今まで報告があったブレブ膜や異所性発現系におけるI_<Na/Ca>よりも、細胞内NaとCaによる活性調節のキネティクスが著しく速いことがわかった。この結果から、beat-to-beatに細胞内Ca濃度に依存してNa/Ca交換が不活性化状態と活性化状態の間を移行し、交換活性が調節される可能性が示唆された。
実験データを基礎に、不活性化機構を有するNa/Ca交換数理モデルを開発した。このモデルにより、I_<Na/Ca>の細胞内外NaとCa濃度依存性、細胞内NaとCaによる活性調節のキネティクスが正確に再現できた。
さらに、このNa/Ca交換不活性化モデルを我々が開発中である心室筋細胞モデルに組み込むことで、活動電位と細胞収縮が繰り返される生理的な状態でのI_<Na/Ca>をシミュレーションした。その結果、静止膜電位付近ではNa/Ca交換の大部分(約80〜90%)が不活性化状態にあって機能していないことが明らかになった。活動電位の発生に続いて一過性の細胞内Ca濃度上昇が起きると、大部分のNa/Ca交換は活性化状態に移行して細胞内Caを排出する。そしてCa濃度の減衰とともに再び不活性化状態に移行することが明らかになった。このモデルは従来のモデル、つまり細胞膜を介するNaとCaの電気化学的ポテンシャルのみによってNa/Ca交換活性が決定されるというモデルとは異なり、全く新しいダイナミックなモデルである。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Fujioka,Hiroe, & Matsuoka.: "Regulation kinetics of Na^+-Ca^<2+> exchange current in guinea-pig ventricular myocytes."Journal of Physiology. 529. 611-623 (2000)

  • [文献書誌] Fujioka,Komeda, & Matsuoka.: "Stoichiometry of Na^+-Ca^<2+> exchange in inside-out patches excised from guinea-pig ventricular myocytes."Journal of Physiology. 523. 339-351 (2000)

  • [文献書誌] Matsuoka,Fujioka, & Noma.: "Control and diseases of sodium dependent transport proteins and ion channels."Suketa, Carafoli, Lazdunski, Mikoshiba, Okada, & Wright.. 440 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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