研究課題/領域番号 |
11670047
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研究機関 | 大分医科大学 |
研究代表者 |
堀内 桂輔 大分医科大学, 医学部, 助教授 (50183603)
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研究分担者 |
竹森 重 慈恵会医科大学, 医学部, 講師 (20179675)
八木 直人 高輝度センター, 実験部門, 主席研究員 (80133940)
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キーワード | 骨格筋 / スキンドファイバー / ケージド物質 / ADP / クロスブリッジ / X線回折 / 放射光 / 収縮 |
研究概要 |
実験は、西播磨スプリング・エイト実験ステーション45XUにおいて、1999年5月13日9時からの72時間に実施した。筋標本は、ウシガエル縫工筋の単一線維スキンドファイバー。実験温度20℃。ADP放出前の硬直ファイバー(長さ約3mm)には40μmの伸展を与え、その張力を高めた。放出直前の張力は、最大活動張力の四割弱。ケージドADP濃度は0.8mMとし、光パルスによって放出されたADPが約0.38mM。なお、筋線維内クロスブリッジは、濃度0.15mM、ADPとのKmが0.14mM程であり、ADP放出速度はおよそ120/秒と推定されている。 ADP放出によって、硬直張力は、時定数2.6ミリ秒で20%低下したが、その後、時定数310ミリ秒で0.25%上昇した。なお張力記録系の共鳴周波数は5kHz程度であり、記録における低周波通過フィルターの設定は10kHz。本課題における主な研究対象である張力低下の時相において、X線子午線反射M3(14.5nm)の強度が約30%増加した。この反射強度変化は、ADP放出後の5ミリ秒でほぼ完了したようであり、見積もられた時定数は2〜4ミリ秒であった。反射強度の記録は、時間分解能が5ミリ秒で、またSN比が乏しく、これ以上の分析は不可能であった。 ADP結合によって、硬直クロスブリッジは構造を変え、また張力をも変化させる。M3反射にあらわれる構造変化は極めて速く、張力の変化とほぼ同期しているようであるが、未だその詳細が不明である。回折記録周りの性能向上が期待される。張力変化の上昇相の原因は、ケージドADPにケージドATPが混入(約0.4%)していることかもしない。1996年に筑波KEK-PFで行なった予備実験では、M3強度がADPで約100%も上昇している。これにも上記の問題が関係しているかもしれない。
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