研究概要 |
近赤外組織酸素モニター(PSA-III-N)を応用して、出力のTotal Hb volの値をもとに、Venous Occlusionを行い、Total Hb volの暫増度から筋血流量を演算し出力させる方法と、従来から行われているvenous occlusion plethysmography方法を同時測定し、その妥当性を検討した。 被験者は健常な男子大学生8名で、室温24℃、相対湿度<40%の人工気象室内で座位で上腕の等張性収縮(30回/分、グリップ運動)を行った。この間、前腕血流量を従来のvenous occlusion plethysmography法と今回開発した近赤外組織酸素モニター(PSA-III-N)を応用した方法を同部位に装着して同時記録した。今回、集計したのは各種負荷および実験条件下で合計25試行を行い、一試行につき5〜10点測定しているので、総測定点は203点である。 グリップ運動中の筋血流量をPSAIIINを用いた方法と、従来のVenous Occlusion Plethysmography法による方法の両方法の相互関係を検討した。8名の全測定値(203点)について、従来の方法で得られた値を横軸に、PSAIIIN法で得られた値を縦軸にプロットしてその相関をみると、両者の間には有意な正相関(r=0.6,p<0.01)が認められ、その回帰式はy=0.227x+4.455であった。これらの結果は近赤外光を用いたPSAIIINにVenous Occlusion法を応用することで筋血流量の測定が可能なことを示す。この方法は原理および理論式からも明らかなように、2点の吸光度の差を用いているので半球状の表層部分の血流を観ていることになり、筋血流の測定としては測定深度も深く、従来の方法より正確と考えられる。また、本装置はセンサー部分を測定部位に貼るだけで測定状態となり、測定が極めて簡単などの利点がある。
|