食餌、運動が老化促進モデルマウスの老化・寿命に及ぼす影響を調べる第一実験として、食餌量・運動量のサーカディアンリズムを検討した。 長命系のSAMR1マウスでは一日のこれらの機能を100%としたとき、夜間活動が占める割合は摂食量:90%、活動量(移動量):70%、運動量(回転運動):95%と殆ど夜行性活動を示した。一方短命系のSAMR1及び SAMP2では摂食量:60-75%、活動量:50-70%、運動量:65-80%を示し、夜間活動の低下または昼間の活動量の増加が顕著であった。最も寿命の短いSAMP2では若年期ではその摂食量、活動量、運動量はSAMR1と比較して著しく高い値を示し、加齢と共に減少する。 老化アミロイド症の顕著なSAMP1マウスでは全体の摂食量、活動量、運動量はSAMR1と比較して大差は見られないが、これらの活動習性ではサーカディアンリズムの乱れ(夜行性の活動低下、昼行性の著しい増加)は若年期から起こり、その程度はSAMP2より大であった。SAMR1と比較してSAMP2では体重の減少、摂食量、代謝量、活動量、活性酸素量等の増加が認められ、摂食量の増加が老化の促進、寿命の短縮に起因していることが想定された。また運動負荷により加齢マウスではサーカディアンリズムの乱れが起きている。SAMP1では体重、摂食量等にはSAMR1と比較して若年期では差は認められていないが、サーカディアンリズムの乱れが若年期より認められ、これが老化の一因として考えられる。 食餌制限が老化、寿命に有効であることは以前より知られているが、それらをサーカディアンリズムから検討し、より効果的な食餌制限、自主運動制限を行う計画を実施中である。
|