研究課題/領域番号 |
11670068
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研究機関 | 京都工芸繊維大学 |
研究代表者 |
中島 敏博 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助教授 (30128136)
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研究分担者 |
宮田 清司 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 助手 (30243124)
清原 壽一 京都工芸繊維大学, 繊維学部, 教授 (50071874)
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キーワード | 解熱 / 発熱 / 脳内生理活性物質 / アラキドン酸カスケード / EET |
研究概要 |
発熱は、内因性発熱物質が視床下部に作用して、アラキドン酸(AA)カスケードを賦活することにより発現する。近年、AAカスケードにチトクローム(CY)P-450代謝系の存在が解明され、本研究グループがこの代謝産物に解熱作用があることを発見した。本研究はCYP-450による解熱機構の全体像を解明するために企画し、本年度は既知の内因性解熱物質であるバソプレッシン(AVP)とEETとの関連を解析した。 AVPは末梢に於ける抗利尿ホルモンであるばかりでなく、中枢において末梢とは独立して放出され、体温調節系においては発熱に際し、bed nucleus of stria terminalisで産生され、腹側中隔野に放出され、脳内解熱物質として作用することが知られている。しかし、発熱がいかなる機序でAVP放出を促進するのかは未だ不明である。そこで、内因性発熱物質がその産生を惹起することが自明であるEETとAVPとの作用機序の関連を解明し、脳内の解熱機構の全体像解明を目指した。 AVPの作用発現部位である腹側中隔野にSKF-525Aを微量注入しEET合成を抑制し、発熱に対する効果を解析したところ、視索前野注入より効果が少なかった。この結果はEETの作用部位がAVPとは異なり視索前野であることを示す。更に、腹側中隔野へSKF-525を投与してもAVP微量注入による解熱作用を阻止できないことから、AVPがEET産生を介して作用を発現する可能性は低い。これらの結果より、EETはAVPと独立した機構で内因性解熱作用を発現すると考えられる。
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