研究課題/領域番号 |
11670071
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
岸 恭一 徳島大学, 医学部, 教授 (80035435)
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研究分担者 |
手嶋 茂忠 徳島大学, 医学部, 助手 (40304513)
二川 健 徳島大学, 医学部, 助手 (20263824)
六反 一仁 徳島大学, 医学部, 助教授 (10230898)
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キーワード | 廃用性筋萎縮 / カテプシン / カルパイン / プロテアソーム / システイン添加 / ミトコンドリア遺伝子 |
研究概要 |
本年度は、無重力や尾部懸垂により萎縮した筋肉(廃用性萎縮筋)では、ユビキチン-プロテアソーム蛋白質分解系が亢進し(FASEB J,in press)、ミトコンドリア遺伝子(NADH dehydrogenase,16S ribosome RNAなど)の発現が異常をきたすことを示した。それらに伴い、骨格筋のミオシン重鎖はユビキチン化されその分解産物が蓄積することもわかった。標的蛋白質がユビキチン化されることが、ユビキチン-プロテアソーム蛋白質分解系の活性化の最も重要なステップであるので、そのユビキチン化を促進する因子として、ミトコンドリアから放出される活性酸素に注目した。そこで、食事中の含硫アミノ酸を多く含む食事を尾部懸垂ラットに与えたところ、尾部懸垂による筋萎縮(廃用性筋萎縮モデル)を有意に抑制できた。また、尾部懸垂ラットの筋肉中のユビキチン化された蛋白質やミオシン重鎖の分解産物もコントロールに比べ減少していた。一方、カテプシン群の阻害剤は、ミオシン重鎖の分解を阻害することはできなかった。これらの所見より、含硫アミノ酸のSH基が、ミトコンドリアから遊離した活性酸素を中和し、筋蛋白質のユビキチン化を抑制していることが示唆された。そして、抗酸化作用を有する栄養素が、廃用性筋萎縮に有効であることを強く示すものである。残念ながら、シスチンは、ミトコンドリア遺伝子の発現異常を是正することはできず、ミトコンドリアからの活性酸素の放出を直接抑制することはできなかった。今後、廃用性萎縮筋でなぜミトコンドリア遺伝子の発現に異常をきたすのかを検討していきたい。
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