研究概要 |
1. 発情前期の日に、定型的にネンブタールによりLHサージ状分泌阻止を行い、あらかじめ植え込んだ刺激電極を用いて片側の内側視索前野に定型的に30分間の電気刺激を与え、刺激電極とともに植え込んだパイプを介して、刺激部位にNaチャネル阻害剤であるTTXを1,2,5μM投与した。2あるいは5μMが電気刺激によるLH分泌を完全に阻止した。続いて,発情前期の日午後に,あらかじめ植え込んだパイプを介して、TTX2μMを両側の内側視索前野に投与した。その結果、TTXは、自発性のLHサージ状分泌には全く影響をおよぼさないことが明らかとなった。 2.GnRHサージジェネレーターの活動を,マクロ・カルシウムイメージングの手法を用いて検討した。発情前期のラットから,視索前野-視交叉上核を含む矢状断の急性切片を作製し,95%CO2/5%Oで飽和したリンゲル液にCalcium Green 1を添加し60分間インキュベートした。さらに60分間Calcium Green1無しでインキュベートし,カルシウムイメージングを開始した。基礎実験として,まず,カルシウム指示薬の蛍光強度の減衰を測定した。連続して2時間490nmの1波長励起を行った結果,得られた蛍光強度は約20%減少した。従って,目的とする時間(11-18時)の経時的なカルシウム変動を測定するための1分ごとのカルシウムイメージングは十分に可能であることが明らかとなった。ただし,計測していない時は,励起を中断する必要があることがわかった。次に、発情前期のラットから視索前野一視交叉上核の矢状断切片および視索前野の冠状断切片を用いて,さまざまな領域のカルシウム変動を13時から19時まで1分間隔で連続して測定したが,著明なカルシウムの変動は認められなかった。引き続いて,視索前野の冠状断切片を用いて,10μMのNMDAもしくはGABA-A受容体の阻害剤のビククリンを投与した。NMDAの場合は,10分間の投与後半より、ゆるやかなカルシウム上昇を認めた。一方、ビククリン投与の場合、投与開始後より直ちにカルシウム上昇を認めた。
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