研究課題/領域番号 |
11670081
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
中谷 晴昭 千葉大学, 医学部, 教授 (60113594)
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研究分担者 |
三木 隆司 千葉大学, 大学院・医学研究科, 助手 (50302568)
清野 進 千葉大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80236067)
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キーワード | ATP感受性K^+チャネル / Kir6.2 / K_<ATP>チャネル欠損マウス / K^+チャネル開口薬 / 代謝阻害 / 虚血再灌流 / ischemic preconditioning(8) |
研究概要 |
心筋細胞膜にはATP感受性K^+チャネルが存在し、その分子構造がKir6.2という膜2回貫通型の基本構造を持つポア部分にABC蛋白の一種であるsulfonylurea受容体体が合わさって機能する事が明らかとなっている。そこでジーンターゲティング法により作製した細胞膜K_<ATP>チャネル(Kir6.2チャネル)欠損マウスを用い、その病態生理学的役割を明らかにする事を目的に本研究を行った。 Kir6.2^<-/->マウスより単離した心室筋細胞のインサイドアウトパッチにおいて、野生型の心室筋細胞と異なり細胞内側のATPを低下させてもK_<ATP>チャネルの活動は観察できなかった。ホールセルクランプモードで全細胞膜電流を記録し、pinacidil等のK^+チャネル開口薬あるいは無グルコース、代謝阻害薬のdinitorophenolを与えると、野生型の心室筋細胞では外向きK^+電流が著明に活性化し、カレントクランプモードで記録した活動電位は短縮した。しかしながらKir6.2^<-/->の心室筋細胞においてはK^+チャネル開口薬の投与あるいは代謝阻害によっても外向き電流は活性化せず、活動電位幅も短縮しなかった。一方、これらの摘出心において左心室内圧を測定しながらランゲンドルフ法で灌流し、15分の虚血、30分の再灌流を行うとKir6.2^<-/->心ではKir6.2^<+/+>心に比べ拡張期圧の上昇が高度であり、収縮機能回復度が悪かった。これらの実験結果より細胞膜K_<ATP>チャネルは虚血再灌流時の心筋収縮機能維持に重要な役割を果たす事が明らかとなった。Kir6.2^<+/+>およびKir6.2^<-/->マウスにおいて麻酔下45分間冠動脈閉塞、120分再灌流を行い、ischemic preconditioningが梗塞巣を減少するか否かについては現在検討中である。
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