研究概要 |
G蛋白質シグナル調節蛋白質(RGS)を介する新しい耐性/逆耐性調節機構の解新のため,本年度は以下のようなRGSを調整し,エンドセリン受容体/アンジオテンシン受容体を発現している細胞に発現してそれらの受容体機能への影響を検討した。 (1)mRNAの組織分布が異なるRGS5(心臓型)、RGS9(線条体型)、RGS4、RGS10(広範囲型)およびRGSdomainをN末に持つ受容体キナーセ(GRK)c-DNAの発現vectorを調整した。 またそれらRGSの膜結合に関与するシステイン残基をアラニンに替えたミュータント並びにN末欠損型のc-DNAも調整した。 更にRGS蛋白を調整するためHis-tag付RGSを調整し,大腸菌で目的RGS蛋白を発現させたのち精製し,RCS蛋白質の特性(GAP活性,G蛋白質結合能)を検討した。RGS5,GRK共Gqαに強く結合することが示された(諸井担当)。 (2)RGSの蛋白としての分布をそれぞれに対する抗体を用いて種々の組織で検討中である。 現在までに,HEK293細胞に発現したRGS5及びRGS4蛋白の細胞内分布を解析したところ野性型では細胞膜に多く,N末欠損型では可溶性成分に分布することが明かになった(木村担当)。 (3)RGS4、5及びGRKのc-DNAを培養細胞に発現させ、エンドセリンおよびアンジオテンシン刺激で起きる細胞内Ca+の移動量に及ぼす影響について検討した。RGSの発現により容量依存的に細胞内Ca+の移動量が抑制されることが観察され,G蛋白質情報伝達系が負に調節されていることが推察された(西山担当) (4)これらRGS蛋白質発現細胞での細胞内分布を免疫組織化学で検討中である。 さらにRGSのミュータントおよびキメラ体を発現させ、細胞内分布にどのような変化が生ずるかを検討する予定である(門田担当)。
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