1)PurαをPC12培養細胞に強制発現させ、ソマトスタチンCRE-ルシフェラーゼ遺伝子活性に対する効果を調べた。細胞の刺激には、cAMP合成を促進させるフォルスコリンとシグナルカスケードが異なるNGF(Nerve Growth Factor)を用いた。これらは、ともにPC12細胞の神経突起伸展を引き起こす。フォルスコリンは、ルシフェラーゼ活性の上昇と突起伸展を引き起こすが、Purαを強制発現させておくと、このような活性の上昇と突起伸展は見られなくなる。他方、NGFによる神経突起伸展は、Purα発現させたPC12細胞からも誘導される。これらの事実は、阻害作用がシグナルのカスケードに特異的(cAMP-CRE-CREB系)に働いていることを意味する。PurαのDNA結合配列が(GGN)nと考えられているが、用いたソマトスタチンCRE配列5'側GGNを欠損させたレポーター遺伝子を用いると上記Purαの阻害は見られなくなる。 2)上記1)の現象を、Pufαの一本鎖および二本鎖ソマトスタチンCREブローブとの結合能をゲルシフトアッセイ法から調べた。それぞれのプローブからPURエレメントのGGN配列の欠損プローブも用いた。Purαは、一本鎖CREのみならず二本鎖CREにも結合したが、欠損プローブにはほとんど結合しなかった。また、二本鎖CREへのPurα結合は、CREBにより阻害された。これらの結果は、(GGN)2配列を含むソマトスタチンCREの転写活性がPurαとの相互作用により調節されている可能生性を示唆すると考えられる。
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