研究課題/領域番号 |
11670094
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
徳冨 芳子 熊本大学, 医学部, 助手 (90253723)
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研究分担者 |
徳冨 直史 熊本大学, 医学部, 助教授 (30227582)
西 勝英 熊本大学, 医学部, 教授 (00040220)
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キーワード | c-kit / 平滑筋細胞 / パッチクランプ法 / 細胞内Ca^<2+>動態 / Ca^<2+>貯蔵部位 / ryanodine感受性Ca^<2+>ストア |
研究概要 |
平滑筋細胞の機能発達におけるc-kitレセプター型チロシンキナーゼの役割を明らかにするために、抗c-kitモノクローナル抗体(ACK2)を用い、平滑筋収縮機能の発達と細胞内Ca^<2+>シグナル系に対するc-kitの影響について、電気生理学的、薬理学的に検討した。nystatin穿孔パッチクランプ法を用い、膜電位固定下、c-kit陽性細胞から調律性のCa^<2+>依存性Cl^-電流が観察された。消化管平滑筋細胞からは自発振動性(STOCs)及びcaffeine惹起(I_<CAF>)のCa^<2+>依存性K^+電流が観察された。これらの電流と、Ca^<2+>高感受性蛍光色素による細胞内Ca^<2+>濃度測定を指標として調べた結果、ACK2処置によりc-kit陽性細胞の欠落と自動能障害を起こしている消化管の平滑筋細胞では、細胞内Ca^<2+>貯蔵部位へのCa^<2+>再取り込み機能の低下があることが示唆された。また、STOCs及びI_<CAF>の活性化に動員されるCa^<2+>はryanodine感受性Ca^<2+>放出によって供給されていた。収縮におけるcaffeineの効果は、0.1-1mMの範囲で濃度依存性の弛緩反応として現れ、3mM以上になると一過性収縮に続く弛緩反応となった。caffeineによる一過性収縮と弛緩反応はdibutyryl cAMP存在下でも見られ、caffeineの効果はcAMP依存性メカニズムではなくryanodine感受性Ca^<2+>ストアの涸渇によることが示唆された。caffeine(3mM)は、高K^+、A23187,carbacholなど別々のCa^<2+>動員経路による収縮応答に勝る強い弛緩反応を示した。以上より、ryanodine感受性ストア内のCa^<2+>含有量がマウス胃平滑筋の収縮機能の維持に重要な役割を果たしており、c-kitとryanodine感受性Ca^<2+>ストアのサイズとの関係について引き続き検討を行っている。
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