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2001 年度 実績報告書

心筋細胞内クロライドイオン濃度変化のメカニズムの解析とその生理学的意義

研究課題

研究課題/領域番号 11670095
研究機関熊本大学

研究代表者

頼仲 方一  熊本大学, 医学部・二薬理, 助手 (90244110)

研究分担者 西 勝英  熊本大学, 医学部・二薬理, 教授 (00040220)
キーワード細胞内クロライド濃度 / 心筋細胞 / サザンカサポニン / ジャーカットT細胞 / 心筋虚血再灌流損傷 / 不整脈 / クロライドオシレション / クロライドチャネル遮断薬
研究概要

今回、我々は、灌流マウス心臓の虚血再灌流モデルにおける、漢方薬油茶子由来の有効成分サザンカサポニンの心筋虚血再灌流損傷に対して可能的な保護作用とそれに関する細胞内クロライドイオンの役割を検討した。我々の実験では、マウスの摘出した心臓をLangendorff装置で灌流して、心臓収縮力、左心室灌流圧及び心拍数をMacLabで記録と虚血30分及びその後再灌流30分期間に不整脈の発生頻度を観察した。30分間の虚血をすると、心筋収縮力、左心室圧及び心拍数は有意的に減少された。更に、虚血期間も再灌流期間にもいろいろ不整脈が発生した。ところが、灌流液中にサザンカサポニンを投与すると、マウス心臓収縮力などの低下と虚血再灌流期間に発生された不整脈の発生は有意的に軽減され、再灌流期間に収縮力の回復も促進された。一方、我々は、MQAEを負荷したマウス心筋のシングル細胞における、サザンカサポニンの細胞内クロライドイオン濃度に対する効果を検討した。それらの結果より、サザンカサポニンの投与はマウス心筋細胞の虚血再灌流損傷に対する保護作用が有り、このサザンカサポニンの保護作用は細胞内クロライドイオンのホメオスタシスへの調節と関連していると示唆された。このデーターは第54回日本薬理学会西南部会に発表された(日本薬理雑誌2002 Vol:119(3));
一方、我々は、レクチンによって誘発されたヒトjurkat Tリンパ球の活性化及びその後の増殖期間の細胞内のクロライドイオン濃度の変化を調べた。レクチンのPhorbol 12-myristate 13 acetate (PMA)とphytohemagglutinin (PHA)は濃度依存的にヒトjurkat Tリンパ球の細胞内のクロライドイオン濃度と細胞内のCl-オシレションを誘導した。一方、レクチンの投与によって誘発された細胞内のクロライドイオン濃度の上昇は、灌流液の細胞外クロライドイオンの除去によってブロックされ、クロライドチャネルの遮断薬である9-ACの投与によって抑制された。しかし、スチルベン誘導体である、DIDSとSITSはかなりPMAによって誘発されたjurkat Tリンパ球の増殖が促進された。我々のこの結果より、jurkat T細胞活性化の期間に、Cl-オシレションの発生率と細胞内のクロライドイオン濃度の増加は生じたことが示唆され、細胞内のクロライドイオンはT細胞活性化と増殖の修飾に対して、重要な役割をすると考えられた(The Journal of Immunologyに投稿中)。

  • 研究成果

    (4件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (4件)

  • [文献書誌] Lai Z.-F.: "The relationship between intracellular chloride concentration and ischemia reperfusion-induced arrhythmias in myocardial cells"Acta Acad Med Sin.. 24(2). 196-202 (2002)

  • [文献書誌] 頼仲 方一: "心筋虚血期間に細胞内クロライドイオンの動態とその意義"Acta Acad Med Jiangxi. 41(2). 25-32 (2001)

  • [文献書誌] 頼仲 方一, 西 勝英: "マウス心筋の虚血再灌流損傷に対してサザンカサポニンの効果"日本薬理雑誌. 119(3). 64 (2002)

  • [文献書誌] Lai Z.-F., He M., Huang Q., Nishi K.: "Effects of susanquasaponin on the elevation of intracellular Cl concentrations induced by ischemia and reperfusion in mouse cardiac myocytes"Jpn. J. Pharmacol. Suppl 1. 65 (2002)

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公開日: 2003-04-03   更新日: 2016-04-21  

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