Yellow Cameleonにチトクロームオキシダーゼのミトコンドリア移行シグナルあるいはカルレティキュリンの小胞体(ER)移行シグナル及び小胞体残留シグナル(KDEL)を付加したcDNAを作製し、これらを水口らの開発した改良型アデノウイルスベクターシステムのシャトルベクターに挿入し、ついでウイルスゲノムベクターに挿入した(YC2.1-ER及びYC3.1-ER)。これを大腸菌で増やした後にHEK293細胞に感染させ、YC2.1-mito及びYC3.1-mitoをコードする遺伝子を持つアデノウイルス粒子を産生させた。初代培養心筋細胞及び肝細胞にこれらを感染させ、2日日から3日後に共焦点レーザー顕微鏡を用いてカメレオン由来の蛍光の細胞内分布を調べた。心筋細胞、肝細胞共にYC2.1-mito及びYC3.1-mitoによる蛍光の分布ははテトラメチルローダミンの分布と一致したことから、これらの蛍光プローブが確かにミトコンドリアに分布していることが判明した。YC2.1-ER及びYC3.1-ERに関しては現在その分布を詳細に検討中である。 心房心室の収縮時のRYRからのCa放出の誘発へのL型T型両カルシウムチャネルの寄与をラットの単離心筋細胞で調べた。50マイクロMニッケルイオンと1マイクロMのmibefradilが、L型を抑制することなくT型を抑制することをvoltage clampにより確認した。心房筋と心室筋のカルシウムトランジェント初期相を画像化しつつこれらを投与したが、全く変化は見られなかった。L型カルシウムチャネルを抑制する1マイクロMニカルジピン投与によりカルシウムトランジェントはほぼ完全に消失した。 マウス心室筋のα刺激によりSRからのCa放出の指標とされているポストレスト収縮が有意に抑制され、また、SRから放出されたCaをNaCa交換機構が細胞外へ汲み出す際の電流により保持されているマウス活動電位のLatePlateau相が著明に減少したことから、α刺激によりSRから放出されるCa量が減少していることが判明した。
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