Yellow Cameleonにチトクロームオキシダーゼのミトコンドリア移行シグナルあるいはカルレティキュリンの小胞体(ER)移行シグナル及び小胞体残留シグナル(KDEL)を付加したcDNAを作製し、これらを改良型アデノウイルスベクターを用いて初代培養心筋細胞及び肝細胞に遺伝子導入し、発現させた。共焦点レーザー顕微鏡を用いてカメレオン由来の蛍光の細胞内分布を調べた。心筋細胞、肝細胞共にYC2.1-mito及びYC3.1-mitoによる蛍光の分布ははテトラメチルローダミンの分布と一致したことから、これらの蛍光プローブが確かにミトコンドリアに分布していることが判明した。YC2.1-ER及びYC3.1-ERに関しては現在その分布を詳細に検討中である。 心房心室の収縮時のRYRからのCa放出の誘発へのL型T型両カルシウムチャネルの寄与をラットの単離心筋細胞で調べた。L型を抑制することなくT型を抑制する50マイクロMニッケルイオンと1マイクロMのmibefradilはカルシウムトランジェント初期相に全く影響しなかった。ニカルジピン投与によりカルシウムトランジェントはほぼ完全に消失した。 マウス心室筋のα刺激によりSRからのCa放出の指標とされているポストレスト収縮が有意に抑制され、また、SRから放出されたCaをNaCa交換機構が細胞外へ汲み出す際の電流により保持されているマウス活動電位のLatePlateau相が著明に減少したことから、α刺激によりSRから放出されるCa量が減少していることが判明した。 まとめ 1)アデノウイルスベクターを用いて心筋細胞への遺伝子導入に成功し、タンパク性蛍光プローブYellow Cameleonをミトコンドリア特異的に発現させることに成功した。 2)L型カルシウムチャネルはRYRからのCa放出を惹起する。 3)T型カルシウムチャネルはRYRからのCa放出を惹起しない。 4)NaCa交換機構はα刺激などでenhanceされると、SRC a loadの減少を介して RYRからのCa放出を抑制する。
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