我々はコレステロール合成酵素のうち、後段階の律速酵素と考えられているスクアレンエポキシダーゼ(SE)遺伝子の転写制御について、核内レセプターLXRによる制御について調べた。細胞内においてLXRα及びLXRβを大量発現させたところ、どちらによっても極めて強いSE遺伝子の抑制が見られ、それはLXRの発現量に反比例していた。また、LXRのリガンド候補と考えられる様々な酸化ステロールについて調べた。その結果、LXR responsive element(LXRE)への誘導能とSE遺伝子の抑制能がよく一致しており、なかでも最も強く効率的なリガンドはエポキシコレステロールであることが分かった。これらのことからLXRはSEの転写を抑制的に制御しており、そのリガンドがエポキシコレステロールである可能性が示された。このことはSEによって生成されるジエポキシスクアレンがコレステロール合成の制御に重要な役割を果たしている可能性を示している。さらにLXRα及びLXRβドミナントネガティブ変異体を作成し、細胞内で大量に発現させたところ、LXRE、及びSE遺伝子への誘導能及び抑制能がいずれも阻害されることが分かった。ドミナントネガティブ変異体の作製に成功したため、この変異体発現マウスを現在作製を試みており、今後詳しく解析する予定である。
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