研究概要 |
I:ERM蛋白質に結合する膜蛋白質、CD43,CD44,ICAM-2の強制発現の微絨毛形成への影響 これらの膜蛋白質をL細胞に発現させ、微絨毛の形成、伸長への影響を見た。それぞれの膜蛋白質の過剰発現により、微絨毛が伸長することが分かった。CV1細胞においても同様で、定量的なデータと走査型電子顕微鏡による微細形態も確認できた。各種のミュータント蛋白質を発現させることにより、ERM結合能と微絨毛の形成、伸長能力とが密接にかかわることがわかった。 II:C末スレオニンリン酸化ERM蛋白質(CP-ERM)の細胞、組織における分布、局在 CP-ERMに特異的な抗体を用いても、従来の固定法では有意な染色像がなかった。すでに報告があるように、CP-ERMに対するフォスファターゼの活性はかなり高いので、フォスファターゼを完全に失活させ、かつ形態や抗原性を保つ、新しいタイプの固定法の開発が迫られていたが、トリクロロ酢酸による固定が、CP-ERMの脱リン酸化を抑え、特異的なCP-ERMの染色を可能にしているというデータが得られた。すなわち、さまざまな固定法によって処理したサンプルを電気泳動後、イミュノブロットし、トリクロロ酢酸固定のサンプルがCP-ERMをよく保存していることが明らかになった。こうして、新しく開発したトリクロロ酢酸固定を用いて、CP-ERMの局在を、培養細胞、動物組織レベルで検証した。その結果、CP-ERMは微絨毛を中心として細胞膜直下に限局し、クロスリンカーとして働<、活性型ERM蛋白質をよく反映することが分かった。
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