研究概要 |
申請者は本研究においてATP合成酵素γサブユニットの筋特異的スプライシングをモデルとして、筋分化過程における選択的スプライシングの分化誘導のメカニズムを明らかにすることを目的とした。本年度の結果として、1.in vitroスプライシング系を用いて本遺伝子の筋特異的選択的スプライシングを調節するスプライシング因子を部分精製し、UVクロスリンク法などを用いて陽性調節因子及び陰性調節因子の候補を同定した(Biochem.Biophys.Res.Commun.251,603-608,1998)。2.選択的スプライシングの陽性調節および陰性調節に関わるシスエレメントを同定した。これらのシス配列は新しいエクソン上のスプライシングエンハンサーとスプライシングサイレンサー配列であった(投稿準備中)。3.変異ミニ遺伝子を導入したトランスジェニックマウスを作製して、生体における筋分化の各段階におけるスプライシングの調節機構を解析した結果、筋管細胞と成熟筋線維では選択的的スプライシングの調節機構が異なることを示した(J.Biol.Chem.273,8492-8501,1998,J.Biol.Chem.275,in press,2000)。今後は、スプライシング因子の精製をさらに進めクローニングすることと、筋分化過程に於ける選択的スプライシング調節の機構をさらに解明することを目的とする。
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