研究概要 |
(1)新規ショウジョウバエSmadであるdSmad2を同定し、無脊椎動物においてもTGF-β/アクチビン系のシグナル伝達が存在することを明らかにした。また、ショウジョウバエにおいてTGF-βスーパーファミリーのシグナルの下流にShmとMadが、レセプター刺激に応じて結合することを見出した。 (2)BMPの下流にあるSmad1はLIFの下流にあるSTAT3とp300を介して複合体を形成し、強調的に標的遺伝子の発現を誘導することを示した。 (3)Smadは転写因子PEBP2αCと結合した。Immunoglobulin C α プロモーターの転写活性化には両者の協調作用が必要であることを示した。 (4)Smadと転写コアクチベーターであるp300との相互作用について検討し、p300内のSmad結合部位を同定した。E1AがSmadに結合しSmadとp300の相互作用を阻害することを見出し、TGF-βのシグナルを抑制することを示した。 (5)two-hybrid法を用いてSmad2に結合する蛋白としてc-Skiを同定した。Smadはc-Skiを介してhistone deacetylaseであるHDACと複合体を形成し、c-SkiはTGF-βによる転写活性化を抑制した。以上より、Smadはその結合する蛋白に依存して、転写の活性化、抑制の両者の作用を持ち得ることが示された。 (6)BMPのシグナル伝達に関して,分子レベルで解析を行うとともに、アデノウイルスの系を用いて、細胞レベルでの検討を行った。さらに、BMPII型レセプターのノックアウトマウスを作製し、このレセプターが初期発生において重要な役割を果たしていることを明らかにした。
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