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2000 年度 実績報告書

赤痢菌感染過程における細胞死の誘発とその分子機構に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 11670139
研究機関東京大学

研究代表者

大海 忍  東京大学, 医科学研究所, 助教授 (20160046)

研究分担者 野中 隆  東京大学, 医科学研究所, 日本学術振興会特別研究員
笹川 千尋  東京大学, 医科学研究所, 教授 (70114494)
キーワード赤痢菌 / タンパク質分解 / アポトーシス / カスパーゼ / 細胞分化 / 細胞死 / 感染 / マクロファージ
研究概要

細菌感染に対する宿主細胞の応答としては,病原性赤痢菌がマクロファージにアポトーシスを誘導するという報告がすでに米国の研究グループから出されている.私たちは本研究初年度に,前骨髄性培養細胞U937を用いて,赤痢菌によって惹起される細胞死が細胞分化に依存することを示した.本年度は,この実験事実に基づいて細胞死誘導の分子機構をさらに詳細に解析した.その結果,赤痢菌の病原性に関わる細胞死はアポトーシスと区別されことが明らかとなった.病原性を持つ野生株を薬剤で殺菌し,細胞にかけると典型的なアポトーシスが起こった.細胞侵入性を欠く変異株では生菌でもアポトーシスが誘導された.いずれの場合も菌は細胞内に入っておらず,細胞表層のToll様受容体などを介して情報伝達系が活性化されていると考えられる.なお,レチノイン酸で分化誘導したU937細胞では,この方法ではアポトーシスは全く起こらなかった.分化に伴う受容体介在アポトーシスに対する耐性化との類似性からも興味深い.一方,病原性を有する野生株赤痢菌は,分化の有無にかかわらずU937細胞に細胞死を引き起こしたが,細胞は形態的にも生化学的にもアポトーシスとは異なった様相を呈した.またこの細胞死は,サイトカラシンで抑えられることから,細胞内に侵入した病原細菌によって誘導されると考えられる.以上の結果から,細菌感染に伴う細胞死はアポトーシスと非アポトーシスが別々の経路で引き起こされることが明らかとなった.

  • 研究成果

    (5件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (5件)

  • [文献書誌] Kato,M: "Caspases Cleave the Amino-Terminal Calpain Inhibitory Unit of Calpastatin during Apoptosis in Human Jurkat T Cells"Journal of Biochemistry. 127. 297-305 (2000)

  • [文献書誌] Kishimoto,S.: "The inhibitory effect of prostaglandin E1 on oxidative stress-induced hepatocyte injury evaluated by calpain-mu activation"Transplantation. 69. 2314-2319 (2000)

  • [文献書誌] Inoue,Y.: "Molecular cloning and identification of bottle-nosed dolphin flavocytochrome b gp91(phox) and p22(phox) subunits."Veterinary Immunology and Immunopathology. 76. 137-150 (2000)

  • [文献書誌] Tamano,K.: "Supramolecular structure of the Shigella type III secretion machinery : the needle part is changeable in length and essential for delivery of effectors"EMBO Journal. 19. 3876-3887 (2000)

  • [文献書誌] Yamada,M.: "Genetic studies of three Japanese patients with p22-phox-deficient chronic granulomatous disease : delection of a possible common mutant CYBA allele in Japan and a genotype-phenotype correlation in these patients"British Journal of Haematology. 108. 511-517 (2000)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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