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2000 年度 実績報告書

個体老化と蛋白質アスパラギン酸翻訳後修飾

研究課題

研究課題/領域番号 11670157
研究機関(財)東京都老人総合研究所

研究代表者

白澤 卓二  (財)東京都老人総合研究所, 分子遺伝学部門, 室長 (80226323)

キーワード老化 / 翻訳後修飾 / イソアスパラギン酸 / イソアスパラギン酸メチル転移酵素 / ノックアウトマウス / トランスジェニックマウス / 神経変性 / 遺伝子治療
研究概要

我々はアルツハイマー病(AD)の神経細胞変性及び神経細胞死に焦点をあて、神経細胞変性に伴う分子異常を検索している。その過程で、ADの変性神経細胞で、イソアスパラギン酸メチル転移酵素(PIMT)の発現が亢進していることを見い出した。そこで、PIMTを標的遺伝子破壊法により欠損させ、イソアスパラギン酸残基(isoAsp)を含む蛋白質の蓄積が人為的に亢進するような動物モデル(PIMT欠損マウス)を作製した。これまでの解析で、PIMT欠損マウスの個体発生は正常に起こるが、生後5週以降、神経細胞変性が出現し、マウスは正常の神経機能を維持できずに痙攣発作を呈し、12週までに100%死亡することを明らかとした。また、ホモ接合体マウス脳では、野性型マウス脳に比べisoAspが7〜10倍に増加していることが判明している。神経変性モデルマウス(PIMT欠損マウス)に蓄積したisoAsp含有タンパク質の検索を試みた。
イソアスパラギン酸を含むトリペプチドを抗原にして、isoAsp残基を特異的に認識する抗体の作製を試みた。得られた抗イソアスパラギン酸残基抗体を用いた解析から、正常マウス脳には認められず、PIMT欠損マウス脳に認められる見かけの分子量43kDa(p43)のタンパク質を発見した。この分子は欠損マウス脳にisoAsp残基が蓄積しはじめる4週齢以降に認められた。また、p43は欠損マウス脳のシナプトソーム画分に特徴的に分布していることが判明した。また、アミノ末端領域を認識する抗シナプシン1モノクローナル抗体を用いた解析から、モノクローナル抗体の反応性がPIMT欠損マウス脳において量的低下を伴わず、著しく低下することを発見した。シナプスタンパク質であるp43とシナプシン1のisoAspの蓄積がこれらのタンパク質の構造変化を生じ、シナプス機能に重大な影響を与えたと考えられた。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Shimizu,T. et al.: "Isoaspartate formation and neurodegeneration in Alzheimer's disease."Archives of Biochemistry and Biophysics. 381. 225-234 (2000)

  • [文献書誌] Gonzalez,L.J. et al.: "Differentiating alpha- and beta-aspartic acids by low-energy electrospray ionaization mass spectrometry."Rapid Communications in Mass Spectrometry. 14. 2092-2102 (2000)

  • [文献書誌] Fukuda,H. et al.: "Synthesis, aggregation, and neurotoxicity of the Alzheimer's Aβ1-42 amyloid peptide and its isomers."Bioorganic & Medical Chemistry Letters. 9. 953-956 (1999)

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公開日: 2002-04-03   更新日: 2016-04-21  

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