1.アメリカ合衆国カルフォルニア大学サンディエゴ校のモンタール教授(生物学)よりNMDAレセプターNR1およびAMPAレセプターG1uR1のcDNAの提供を受けた。このうちNR1cDNAのうち294bp(2634-2928)をPGEM11Zにサブクローニングし、in vitro transcriptionによってantisenseおよびsense riborobeを得た。予備実験としてこのプローベを用いて、小児剖検脳5例(胎生23週から42週まで)のホルマリン固定標本を用い海馬、小脳、後頭葉においてNMDAR1の遺伝子発現をin situ hybridization法で検討した。成熟脳ではCA1領域の錐体細胞に比較して、CA2-3における錐体細胞では強い発現が見られた。しかし、未熟脳においてはこの部位の違いによる発現の差は見られなかった。小脳においてはプルキンエ細胞、ゴルジ細胞、歯状核神経細胞における発現は顆粒細胞のそれよりもはるかに強かった。後頭葉外顆粒細胞におけるNMDAR1mRNAの発現が他部位に比較して強く見られた。 2.次にトロント大学トロント小児病院ベッカー教授より小児てんかん手術検体20例が提供された。検体はいずれも通常の抗てんかん剤に対し抵抗を示す難治てんかんのため脳神経外科手術の適応となった症例からのものである。1と同様の方法によりcortical dysplasiaにおけるNMDAR1のmRNA発現の分析を行った。現在この発現を半定量化するために検討中である。
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