研究代表者らは、平成11年度にcortical dysplasiaのグルタミン酸受容体の発現を分析するためにアメリカ合衆国カルフォルニア大学サンディエゴ校のモンタール教授(生物学)よりNMDAレセプターNRlおよびAMPAレセプターGluR1のcDNAの提供を受け、発達期のヒト脳を用いて予備実験を行った。さらにトロント大学トロント小児病院ベッカー教授より小児てんかん手術検体20例が提供され、cortical dysplasiaにおけるNMDAR1のmRNA発現の分析を行った。平成12度については同様の実験をすべての検体を用いて行い発現状況を再度確認した。すなわちサブクローニングされたNMDAR1 cDNAを用いてプローベを作成しin situ hybridizationの手法を用いcortical dysplasiaにおけるNMDA受容体mRNAの発現を分析した。また同検体を用いて以前検体数が少なく十分な検討ができていなかったGAP-43の遺伝子発現についてサブクローニングしたGAP-43 cDNAを使用し、十分発表するに足りる結果が得られたので、NeuroReportに結果を掲載した。すなわちcortical dysplasiaにおけるgiant neuronはそのGAP-43の発現が強く現れており、giant neuron自体に新たなシナプス形成のための活動性の亢進がなされていることが示唆された。GABA受容体に関しては同様の手技を用いて年度末現在においてサブクローニング中である。
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