ホジキン病を特徴づけるホジキン細胞ないしReed-Sternberg細胞は最近の研究で殆どがBリンパ球由来であるとされつつある。通常のホジキン病と異なり稀ではあるがホジキン病と非ホジキン病が同じリンパ節或いは同じ患者で異なった部位のリンパ節に生じる事がある。この様な症例で両者が同じクローンの細胞であるか否かを解明することは、本症のB細胞由来説を更に裏付ける事になる。我々は4例のこれらcomposite lymphomaにつき、single cell PCRの手法を用いて検討を行った。このうち1例は濾胞性リンパ腫の後にホジキン病を来したもので、残る3例は同じリンパ節にホジキン病と瀰漫性大細胞型リンパ腫を合併したものである。このうち2例(1例は濾胞性リンパ腫とホジキン病の合併例)ではIgH遺伝子のRCR増幅とoligonucleotideの塩基配列分析により、非ホジキンリンパ腫細胞とホジキン細胞とが同一のクローンであることが証明された。残り2例のうち1例はホジキン細胞の5つのPCR産物が多クローン性であり非ホジキンリンパ腫細胞とは異なった。残る1例ではPCR産物は得られなかった。これらの結果から明らかに一部のcomposite lymphomaでは非ホジキンリンパ腫細胞とホジキン細胞が同一のクローンであることが明らかとなったわけで、ホジキン細胞がB細胞由来であること及びクローナルな腫瘍細胞であることが明らかになった。然し多クローン性であった症例では本当にこれがクローナルでは無かったのか或いは操作に不備が有ったのかは更なる検討が必要であろう。
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