研究概要 |
非ホジキンリンパ腫でホジキン様病巣を伴う3例につき、ホジキン様B細胞の免疫グロブリン重鎖可変領域を調べた。3例の内訳は1例がangioimmunoblastic T-cell lymphoma(AILD-T),2例はATLであった。全例ホジキン様B細胞は非ホジキンリンパ腫と同じリンパ節に病巣があった。これらのリンパ節ではいづれも非ホジキンリンパ腫の腫瘍病巣中にホジキン様細胞が散見された。ホジキン様B細胞はCD20,CD30が陽性であったが、CD15は陰性であった。EBウイルスは2例のATLで陽性であったが、1例のAILD-Tでは陰性であった。3例とも非ホジキンリンパ腫細胞はEBウイルス陰性であった。全例につきホジキン様B細胞はsingle cell manipulationで取り出され、免疫グロブリンH鎖遺伝子のPCR増幅がなされた。その結果ホジキン様B細胞は全例多クローン性であった。このうちATLの1例でVH遺伝子の塩基配列を調べた。その結果ATLの1例では分析した5個のホジキン様B細胞はそれぞれ3.5%と17.7%のsomatic mutationを呈するin-frame sequenceを示したが、のこり3個はout-of frame sequenceであった。これらの結果から種々のタイプのリンパ腫に出現するホジキン様B細胞は多クローン性であり、EBVに関連したものであると言える。これらの細胞は非腫瘍性であり、非ホジキンリンパ腫を背景として生じたものと考えられる。EBVは免疫グロブリン遺伝子のcrippling mutationに重要な関わりを有している事が示唆された。今後はB細胞性リンパ腫とホジキン病様病巣を伴う症例において両者の関連性を検討するつもりである。
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