(1)ploidy解析 切片中のmetaphaseを測光する方法に、より精度を高める改良を加えた。改良の為の試行錯誤を行ったため、腫瘍のploidyマッピングは現在も進行中である。 (2)腫瘍DNAのenrichmentとCGHの条件設定:間質成分の多い癌では、5μmの腫瘍組織切片からLaser microdissection(Olympus LM200)で抜き取った約500個の腫瘍細胞核からDNAを抽出した後、DOP-PCRで全ゲノムを増幅し、CGHを行った。そのさい、腫瘍および正常組織から抽出したDNAをともにPCRの過程で蛍光標識nucleotideにより直接標識するために、種々の蛍光色素を用いて試行錯誤を行い、FITCとTRITCの組み合わせで良好なCGHの結果を得ることができた。 (3)Interphase karyotyping:ploidy解析、CGH、FISHを組み合わせてinterphaseの核から染色体のkaryotypingのための基礎的検討を行った。胃癌細胞株では、CGHのG/R比のbaselineからのシフトとploidy解析から、実際のコピー数を推定し、painting FISHで直接カウントしたコピー数と突き合わせたところ、よく一致した。このデータからDNAの倍加前の比較的初期の変化と倍加後の変化とを区別できることを明らかにした。そこで、食道癌の手術材料を用いて、同様にploidyとG/R比からの染色体数の推定を行った。そのさい一つの腫瘍から複数箇所のサンプリングを行い、その複数箇所のすべてにみられた染色体変化は、常にG/R比の変化が大きく、倍加前から存在していたことが推定されたものであった。このことからも、G/R比のshift distanceからコピー数を読むことができることが裏付けられた。現在、胃癌の手術材料でも検討中である。
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