研究概要 |
1.ヒト神経内分泌癌におけるCIITA発現機構の解明:対象にはヒト肺小細胞癌株(TKB-15),ヒト神経芽細胞腫株(SK-N-DZ),ヒト肺大細胞癌株(TKB-5),及びヒト扁平上皮癌株(TKB-20)を用いた。これらの細胞株からDNAを抽出し,CIITA promoter塩基配列をdirect sequence法により検討した結果、どの株にも変異は検出されなかった。次にRNA,核内タンパクを抽出し,Nothern法,Western法によりSTAT-1α,USF-2,IRF-1,IRF-2の発現状態につき検討した結果,細胞株間に有為な発現量の差異は認められなかった。一方,TKB-15,SK-N-DZ,TKB-5では,それぞれL-myc,N-myc,c-mycの過剰発現がみられ,この3株ではmaxの過剰発現も認められた。IFN-γ添加によるSTAT-1αのリン酸化には各細胞株間に有為な差異は見られなかった。CIITA promoter sequenceをprobeとして各細胞株の核内タンパクを用いたelectrophoretic mobility assayを行なった結果,TKB-15,SK-N-DZにおいてもgamma activating siteへのSTAT-1αの結合およびE-boxへのUSF-1 homodimerの結合も保たれていることが確認され,TKB-15においてはL-Myc/Max heterodimer,SK-N-DZにおいてはN-Myc/Max heterodimerもE-boxに結合していることが明らかになった。 2.マウス神経内分泌癌におけるCIITA,MHC発現状態に関する検討:対象にはA/Jマウス由来の神経芽細胞腫株C-1300(N-myc過剰発現)を用い,対照株としてBalb/cマウス由来の乳癌株MMT0605を用いた。IFN-γによるCIITAおよびMHC classIIの誘導をRT-PCR法により検討した。その結果,ヒト神経内分泌癌と同様にCIITA,MHC classIIのbasal expressionは認められず,IFN-γによる誘導も不全状態であった。
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