研究概要 |
研究期間内に、神経内分泌内酸性蛋白であるChromogranin(Cg)/Secretogranin(Sg)およびpeptide hormoneの一つとしてprolactin(PRL)mRNA発現の有無について検討した。検討対象は、非腫瘍性乳腺(生理的条件下である静止期、妊娠、授乳、離乳各時期)および加齢ratにおける自然発症乳腺腫瘍(fibroadenoma、adenocarcinoma)である。 検討結果; 1)電子顕微鏡的検索により、神経内分泌顆粒は、いずれの時期の非腫瘍性乳腺においても認められなかった。 2)Cg mRNA発現については、CgAは、妊娠14日、20日、授乳1日に発現が認められたが、SgIおよびSgIIについては、妊娠14日、20日において認められたが、分娩後は認められなかった。 3)rat mammary fibroadenoma,adenocarcinomaにおいて、CgA,SgIImRNA発現が確認されたが、SgI mRNA発現は認められなかった。 4)Estradiol(E2)投与ラットにおけるCg mRNA発現を検討した。5,50,500,1000μg/kg/weekのE2を1〜4週間、筋肉内投与した。いずれの用量および期間においてもCg mRNA発現をinduceすることはできなかった。 5)非腫瘍性乳腺において、妊娠14日から、分娩後14日において、PRL mRNA発現が認められた。また、PRL-receptor mRNA発現についても同時に検討した。とくにlong formのPRL-Rについて、PRL mRNA発現に先行してmRNA発現が認められた。 6)rat mammary fibroadenoma,adenocarcinomaにおいて、PRL mRNA発現が確認された。PRL mRNA発現については、in situ RT-PCR法により、間質ではなく、乳腺上皮細胞におけるmRNA発現であることが確認された。
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