狐発性筋萎縮性側索硬化症の剖検脊髄において、過酸化物質の局在を免疫組織化学的に解析するとともに、enzymeーlinked immunosorbent assay(ELISA)法を用いて脊髄中の過酸化物質の濃度測定を試みた。免疫組織化学的解析はホルマリン固定パラフィン包埋材料用いた。切片に各種過酸化物質に対する特異抗体を反応させて得られた免疫反応産物のうち、N^ε-carboxymethyllysine(CML)、pentosidine、4-hydroxy-2-nonenal蛋白付加体およびmalondialdehyde蛋白付加体は変性細胞の細胞質に、8-hydroxy-2'-deoxyguanosineは変性細胞の核にそれぞれ局在していた。ELISA解析に関しては、平成11年12月にマイクロプレートリーダーおよび対応コンピュータソフトが納品された時点で予備実験が開始された。まず、ウシ血清アルプミン濃度系列(10〜100mg/ml)がローリー法で、精製ヒトsuperoxide dismutase-1(SOD1)蛋白濃度系列(1〜10μg/ml)がELISA原法で、それぞれ吸光度が検出可能であることを確認した。次に、界面活性剤および蛋白分解阻害剤を含有するリン酸暖衝液を新鮮凍結材料に添加して得られたホモジェネートの遠沈上清でマイクロプレートをコーティングした後、一次抗体(グリア線維酸性蛋白、シナプトフィジンならびにCMLに対する特異抗体)およびアルカリフォスファターゼ標識二次抗体を漸次反応させて得られた免疫反応産物をマイクロアッセーしたところ、吸光度が検出限界以下であることが判明した。そこで検出感度を上げるために現在、サンドウィッチELISA法の条件設定を行っている。
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