研究課題/領域番号 |
11670209
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
中西 功夫 金沢大学, 医学部, 教授 (00019556)
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研究分担者 |
小田 惠夫 金沢大学, 医学部, 助教授 (70169316)
渡辺 琢夫 金沢大学, 医学部, 助教授 (40303268)
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キーワード | アルツハイマー病 / アミロイド前駆体蛋白 / コリンアセチルトランスフェラーゼ |
研究概要 |
アミロイドβ蛋白前駆体(APP)の細胞ドメインと結合する127kDa蛋白、即ちUV damaged-DNA binding protein(UV-DDB)の脳内分布を明らかにするために本年度は以下のことを行った。 1)UV-DDB抗体作製と抗体のcharacterization UV-DDBのペプチド断片のアミノ酸配列の中で比較的親水性の高いと思われる2か所のアミノ酸配列について合成ペプチドを作製し、サイログロブリンに結合して、New Zealand White種のウサギを免疫した。得られた抗血清から、抗原として用いられたペプチドを結合したアフィニティー・カラムによってUV-DDB特異的な抗体を精製した。これらの抗体はウェスタン・ブロッテイングにおいてラット脳から精製されたUV-DDBを認識した。これらの抗体を用いて、HEK293細胞、ラット海馬ニューロンの初代培養細胞などを免疫染色した結果、細胞質に分布するUV-DDBを検出する事ができた。これらの染色は一次抗体と抗原ペプチドをプレインキュベーションする事により阻害されることから、UV-DDBに特異的な抗体である事が分かった。 2)非痴呆およびアルツハイマー型痴呆脳におけるβアミロイド蛋白(βA)とコリンアセチルトランスフェラーゼ(ChAT)の免疫組織化学的検討 非痴呆脳および痴呆脳それぞれ5例について連続切片を用い、βAとChATの免疫組織化学染色を行った。痴呆脳では、大脳皮質に広範にβAの斑状沈着(びまん性老人斑と典型的人斑の両者)が多数みられた。一方、非痴呆脳に比べ、痴呆患者の大脳皮質におけるChATの免疫染色性は著しく低下していたが、びまん性老人斑はChAT免疫染色陰性であるのに対し、典型的老人斑の一部はChAT陽性であった。今後、これらの2種類の異なった老人斑の出現が、UV-DDB発現ニューロンとどのように関連するのかを検討する予定である。
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