研究課題/領域番号 |
11670210
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研究機関 | 岐阜大学 |
研究代表者 |
吉見 直己 岐阜大学, 医学部, 助教授 (30166996)
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研究分担者 |
原 明 岐阜大学, 医学部, 助手 (10242728)
森 秀樹 岐阜大学, 医学部, 教授 (70021433)
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キーワード | βカテニン / ラット / 大腸発癌 / 遺伝子変異 |
研究概要 |
今年度、アゾキシメタンで誘発した大腸発癌モデルの実験系において、大腸粘膜に生ずる変異陰窩巣(aberrant crypt foci;ACF)を指標とする10週間の短期実験を行い型のごとくACFを検出し、βカテニン遺伝子変異を検討した。ラット大腸粘膜はホルマリン固定後、メチレンブルー染色し、ACF総形成数とそのACFを構成する変異陰窩巣を測定するとともに、パラフィン包理標本を作製した。特にACF部はマーキングして、粘膜に対して、垂直方向と水平方向の両方向からの薄切り標本(ヘマトキシリン・エオジン染色)を作製を行った。 今回、水平方向に作製した標本から、従来、ACFと考えられている病変以外にも、組織学的に異型腺管病変を同定しうることを発見した。このため、これら病変から、LASER CAPTURE MICRODISSECTION SYSTEM(オリンパス)を使用して、マーキングされたACF部および非ACF性の異型病変部をマイクロダイセクションし、genomicDNA抽出を行い、βカテニン遺伝子の増幅とそのDNA配列について検討した。 ACF部では検討した20病変中3病変(15%)にβカテニン遺伝子エクソン3のコドン32と34に変異を見るに過ぎなかったが、非ACF性の異型病変では18病変の検索中13病変(72%)に同様のエクソン3のコドン32-41にかけて、点突然変異を伴い、ヒトで見られるセリン・スレオニン部にも多くの変異を認められた。この頻度は既にラット大腸腫瘍で認められている(約60-80%)に一致し、この組織学的に同定される非ACF性の異型病変は、従来、前癌病変と考えられていたACF病変よりも腫瘍形成の芽としては重要に考えられた。現在、経時的観察や免疫組織学的検索を遂行中である。
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