研究概要 |
1.LCLを対象とした、xanthine/xanthine oxidase反応による活性酸素産生系でのapoptosis誘導系において、interleukin(IL)-6での前処理がそのapoptosisを抑制することを明らかにした。次にIL-6存在下と非存在下で上記活性酸素処理を反復したところ、軟寒天上でコロニー形成能を有する細胞の出現を見た。これらの亜株は親株に比べ明らかに増殖能が強くなっており、染色体異常の検索を行ったところ、親株に比べ異常染色体の出現頻度が増加していることを見出した(Miwa,H.,et al.,Lab.Invest.,2000)。 2.活性酸素およびIL-6の双方あるいは一方の反復処理を行ったLCLについて、軟寒天上でcloningを行い、それぞれ5-10株程度のクローンを得た。これらのクローンについてp53遺伝子エクソン5-8での変異の有無をPCR-SSCP法により検討したが、特に変異の誘導は検出できなかった。 3.甲状腺リンパ腫症例約20例について以下の検討を行った。 (1)遺伝子不安定性の検討では、低悪性度のMALTomaでは陰性だが、比較的悪性度の高いDiffuse large B-cell lymphomaでは高頻度に見られた(Takakuwa,T.,et al.,Jap.J.Cancer Res.,2000)。 (2)RT-PCRによる各種サイトカイン発現の検討では、B細胞増殖因子であるIL-7についてのみ、甲状腺リンパ腫と慢性甲状腺炎の間でその発現頻度に差を認めた(Takakuwa,T.,et al.,Lab.Invest.,2000)。 (3)メチル化特異的PCR法により、Death-associated protein-kinase(DAP-Kinase)のプロモーター領域についてメチル化の有無を検討したところ、甲状腺リンパ腫組織では慢性甲状腺炎組織に比べ、メチル化の頻度が明らかに高くなっていた(Nakatsuka,S.,et al.,Lab.Invest.,2000)。
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